INTRO
海外契約前は、合意できるかどうかより先に、誰と何を約束しているかを固定しなければなりません。
会社名がある。担当者もいる。契約書案も出ている。条件も一応そろっている。ここまで来ると、あとは契約するだけに見えます。しかし、契約主体と実際の履行主体が違う、支払先と運営会社が一致しない、現地での実体が薄い、責任範囲が曖昧なまま進むことがあります。
問題は、契約文言の細部だけではありません。契約の前提条件がずれていると、締結後に一気に不利になります。
3 AXIS
契約前のリスクは、主に三つのずれに現れます。
契約主体がずれています
交渉している相手、契約書に記載される相手、請求や送金の相手が一致しないことがあります。担当者の説明が自然でも、契約当事者が別法人であれば責任の追い方は変わります。
誰と契約するのかが曖昧なままでは、条件確認以前に基礎が不安定です。
履行体制が見えていません
契約締結後に、誰が実務を担い、どこで履行し、どの範囲を責任として負うのかが不明瞭なことがあります。資料上は整っていても、現場で回る体制が確認できなければ、契約後にずれが出やすくなります。
実行体制の不透明さは、契約後のトラブルに直結します。
支払条件が先行しています
前払金、保証金、着手金、先行投資などの支払い条件だけが明確で、履行条件や不履行時の扱いが弱いことがあります。契約前に資金だけが先に動く構造は、後で修正しにくくなります。
支払いの明確さと、契約全体の安全性は同じではありません。
POSITION
契約前に見るべきなのは、条文の巧拙より前提の一致です。
契約書の文面は重要です。しかし、そもそも契約主体が正しいか、履行体制が現実にあるか、支払先と責任主体が一致しているかが確認できていなければ、条文を整えても基礎が弱いままです。
つまり、契約前のリスクは法文の問題だけではありません。前提条件の食い違いを放置したまま、契約という形式だけ先に整えてしまうことにあります。
だからこそ、締結前は「契約できるか」ではなく、「契約の前提が揃っているか」で見る必要があります。
CHECK POINT
交渉相手と契約当事者は一致しているか
担当者の自然さだけで主体を確定しない必要があります。
契約後に誰が履行するのか見えているか
実行体制が曖昧なままでは、契約後の責任も曖昧になります。
支払い条件だけが先に固まっていないか
資金移動の明確さと、履行の確実さは別です。
GUIDE
契約前のリスクを見るときは、順番を固定します。
01
主体を固定する
誰と契約し、誰が責任を負うのかを先に分けます。
02
履行体制を確認する
契約後に現場が回るかどうかを文面の前に見ます。
03
支払条件を分離して見る
資金移動の条件と、履行条件を同時に確認する必要があります。
ENDING
契約前のリスクは、締結後に修正しにくい前提のずれです。
海外契約では、契約書があること自体で安心しやすくなります。しかし、契約主体、履行体制、支払構造が食い違ったまま進めば、そのずれは締結後に一気に表面化します。
契約前に見るべきなのは、文言の完成度より、前提条件が本当にそろっているかです。
