海外案件で弁護士が動けない理由

  • 海外案件で見落とされやすい基礎知識を整理し、判断に必要な視点を補います。
  • 海外案件で見落とされやすい基礎知識を整理し、判断に必要な視点を補います。

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法的に正しくても、動ける範囲には限界があります。

弁護士に依頼すれば解決できるという前提は、国内案件では成立しやすいものです。しかし海外案件では、法的根拠があることと、現地で実際に動けることは別の問題です。このページでは、なぜ弁護士が動きにくくなるのかを構造として整理します。

INTRO

海外案件では、法的な正しさだけでは前に進まないことがあります。

国内であれば、請求権の有無や法的根拠が整理されていれば、手続きを進めやすい場面が多くあります。しかし海外では、どこで、誰に対して、どの制度を使って動くのかが分裂しやすく、正しいだけでは実行に移れないことがあります。

そのため、法的手続きの前に、まず「動ける条件」がそろっているかを確認する必要があります。

3 REASONS

弁護士が動きにくくなる理由は主に三つです。

法域が分断している

契約地、相手の所在地、資産所在地が別々の国に存在する場合、どの国の法律を適用し、どこで手続きを進めるかが分裂します。

日本の弁護士が動ける範囲は基本的に日本国内に限られ、現地で直接執行することはできません。

相手の所在と資産が見えない

法的手続きを進めるには、相手の所在と資産が特定されている必要があります。

所在不明、資産不明の状態では手続きの起点が作れません。正しい請求権があっても、届く相手がいなければ機能しません。

現地の協力体制が必要になる

海外で実際に動くには、現地の弁護士、当局、調査機関との連携が必要になります。

その体制が整っていない場合、法的には正しくても、物理的に前進できない状態が続きます。

POSITION

正しさと実行可能性を分けて見る必要があります。

弁護士が動けないのは、能力や意欲の問題ではありません。海外案件では、法的手続きに入る前に、相手の所在・資産・法域の接続可能性を整理することが先に必要になります。

どの国で、どの制度を使い、誰と連携して進めるのかが整理されていなければ、法的に正しくても動けません。

この前提を外すと、法的手続きに時間と費用を投じても、結果につながらないまま終わる可能性があります。

CHECK POINT

法的に正しくても動けない場合がある

実行条件がそろっていなければ前進できません。

所在・資産・法域の整理が先

手続きの起点を作る前提が必要です。

能力の問題ではない

構造上、動きにくくなる案件があります。

ORDER

確認すべき順番

01

相手の所在が現在も確認できるか

まず、請求や通知が届く相手が見えているかを確認する必要があります。

02

資産に接続できる状態にあるか

回収や保全を考えるなら、対象となる資産の位置と接続可能性が必要です。

03

どの国で手続きを進めるべきかが整理されているか

法域の整理ができていなければ、法的手続きは入口で止まります。

ENDING

法的根拠は出発点であり、到達点ではありません。

海外案件では、正しさを証明することよりも、どこまで実行できるかを先に把握することが重要です。

弁護士が動けない理由を理解することは、次の判断を誤らないための前提になります。

  • 知っているつもりでも、判断を外すことがあります。 必要なのは情報量より、見方の基準です。